



2011年12月24日 (土) | 編集 |
病みつつ生きてます。おひさしぶりでございます。沙弥です。
今年の風邪のしつこさにすっかりやられております。今週4日しかないのにほぼ半分会社休んでしまった……。しおしお。
流行の鼻風邪なので鼻水を大量生産中です。これ冬コミまでに治るんだろうか……。
とりあえず新刊は一種出るので、無理しない程度にがんばります……。
(どうでもいいようなことですがややアフタネタバレあるので嫌な方は回れ右)
-------------------------------------------------------------------------
(好きなヤツと過ごすクリスマスにはそれなりの夢があったハズだったんだけどな……)
花井はバットを振りながら思わずひとりごちた。
さすがに速さにも慣れてきてこのごろはいい当たりもけっこう飛ばせるようになってきた。
時速150kmに設定されたマシンを擁するバッティングセンターまでは電車でだいたい30分。
全員誘ったら順番が回ってくるのが遅くなるからと口実をつけて、練習が終わってからふたりで足を運んだ。
ちょっとフォームに悩んでいるそぶりを見せれば、阿部は絶対についてきてくれる。
自分のずるさにわずかな罪悪感が滲む。
「ほら、交代」
マシンが止まって声をかけると、阿部はのそりと立ち上がって食べかけのホールケーキを渡してきた。
「ほい」
「おう」
いちおうクリスマスだからという理由でコンビニで買ってきたそれは、もはや花井の意地である。
もちろん切り分けるものもなく、コンビニのお姉さんがくれた頼りないフォークで食い散らかされたケーキは、ほんの少しの時間に驚くほど減っていた。ほぼ半分だ。
(いや……、もう、わかってるんだけどな)
幸い……というか、あたりまえかもしれないが、他に人影はなく、ふたりきりのクリスマスイブを満喫できてはいるのだが。
いるのだが。
花井はおおきくため息をついた。
(なんでオレ、こいつがいいかな……)
悩みつつも、それでも視線は外さない。
ときどきフォークがケーキを外すけれど、それにすら口に入れてから気がつくくらい、阿部を見ている。
こんな機会はめったにないから。
「よーし交代!」
マシンが止まって、阿部があたりに響くおおきな声を上げた。
「おう」
ケーキを渡すと、「なに、まだ残ってんの」と言われた。
「おまえみたいにがっついてねーんだよ」
言ってマシンに向かおうとしたら、阿部がめんどくさそうにつぶやいた。
「持ってるだけとか疲れんだろ」
その言葉にキュンとくる自分がもはやありえない。
(そっちの人……なんかな、オレ)
なんとなく認めたくないが、そうとしか考えられない。
もう少し大人になってから知りたかったとため息をついて、時速150kmのボールに向かう。
打つときは集中。そうしないときっと怒る。絶対怒る。
なんのために来てんだよと垂れ気味の目を吊り上げる。
(それはそれでかわいいかもだけどな)
それをする度胸もないくせに、そんな妄想をする。もはや末期だ。
「ナイバッチー」
さっきはかからなかった声がかかって驚いた。
たぶんケーキを食べていないからだ。少し笑う。
きっと、そういう自覚をしてしまった人にとっては、これは幸せなクリスマスなんだろうと、思う。
ふたりきりのクリスマスイブ。
たぶん、きっと、一生忘れない。
-----------------------------------------------------------------------
え? 両思いですけど何か。(こら)
拍手いつもありがとうございます♪ 励みになっておりますv
今年の風邪のしつこさにすっかりやられております。今週4日しかないのにほぼ半分会社休んでしまった……。しおしお。
流行の鼻風邪なので鼻水を大量生産中です。これ冬コミまでに治るんだろうか……。
とりあえず新刊は一種出るので、無理しない程度にがんばります……。
(どうでもいいようなことですがややアフタネタバレあるので嫌な方は回れ右)
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(好きなヤツと過ごすクリスマスにはそれなりの夢があったハズだったんだけどな……)
花井はバットを振りながら思わずひとりごちた。
さすがに速さにも慣れてきてこのごろはいい当たりもけっこう飛ばせるようになってきた。
時速150kmに設定されたマシンを擁するバッティングセンターまでは電車でだいたい30分。
全員誘ったら順番が回ってくるのが遅くなるからと口実をつけて、練習が終わってからふたりで足を運んだ。
ちょっとフォームに悩んでいるそぶりを見せれば、阿部は絶対についてきてくれる。
自分のずるさにわずかな罪悪感が滲む。
「ほら、交代」
マシンが止まって声をかけると、阿部はのそりと立ち上がって食べかけのホールケーキを渡してきた。
「ほい」
「おう」
いちおうクリスマスだからという理由でコンビニで買ってきたそれは、もはや花井の意地である。
もちろん切り分けるものもなく、コンビニのお姉さんがくれた頼りないフォークで食い散らかされたケーキは、ほんの少しの時間に驚くほど減っていた。ほぼ半分だ。
(いや……、もう、わかってるんだけどな)
幸い……というか、あたりまえかもしれないが、他に人影はなく、ふたりきりのクリスマスイブを満喫できてはいるのだが。
いるのだが。
花井はおおきくため息をついた。
(なんでオレ、こいつがいいかな……)
悩みつつも、それでも視線は外さない。
ときどきフォークがケーキを外すけれど、それにすら口に入れてから気がつくくらい、阿部を見ている。
こんな機会はめったにないから。
「よーし交代!」
マシンが止まって、阿部があたりに響くおおきな声を上げた。
「おう」
ケーキを渡すと、「なに、まだ残ってんの」と言われた。
「おまえみたいにがっついてねーんだよ」
言ってマシンに向かおうとしたら、阿部がめんどくさそうにつぶやいた。
「持ってるだけとか疲れんだろ」
その言葉にキュンとくる自分がもはやありえない。
(そっちの人……なんかな、オレ)
なんとなく認めたくないが、そうとしか考えられない。
もう少し大人になってから知りたかったとため息をついて、時速150kmのボールに向かう。
打つときは集中。そうしないときっと怒る。絶対怒る。
なんのために来てんだよと垂れ気味の目を吊り上げる。
(それはそれでかわいいかもだけどな)
それをする度胸もないくせに、そんな妄想をする。もはや末期だ。
「ナイバッチー」
さっきはかからなかった声がかかって驚いた。
たぶんケーキを食べていないからだ。少し笑う。
きっと、そういう自覚をしてしまった人にとっては、これは幸せなクリスマスなんだろうと、思う。
ふたりきりのクリスマスイブ。
たぶん、きっと、一生忘れない。
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え? 両思いですけど何か。(こら)
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